秋の旬の食材 ~栄養価~
どうして旬の食材がいいの?
「旬」とは広辞苑によると、「魚介、蔬菜(そさい)、果物などが良く熟して味の最も良いとき」と定義されています。
自然の中でふつうに育てた野菜や果物がとれる季節や、魚がたくさんとれる季節のことで、食べ物によってその時期は違いますが、いちばんおいしく栄養価も最も高い時期なのです。旬の野菜は季節外れの野菜と比べると、同じ量を食べても栄養価は2倍~それ以上とも言われています。そして私たちの体は無意識に旬の食材を必要とします。
春の旬の食材といえば、「ふきのとう」や「ウド」があります。これらの春野菜には冬に弱った身体を目覚めさせる効果があります。夏の旬の食材といえば、「なす」や「きゅうり」「スイカ」などがあります。これらの野菜は暑い夏を乗り切るため、水分やミネラルをしっかり蓄え、体を冷やす効果があります。秋から冬の旬な食材といえば、「栗」「さつまいも」「柿」などがあります。寒い時期を乗り越えるため、体を温めてくれる根菜類が旬を迎えます。これらの野菜はエネルギー源となる糖分を多く含み、旬にはさらに甘味を増して美味しくなるのです。
野菜同様、魚にも旬があります。一般的に、魚は産卵のために栄養(特に脂肪分)を十分に蓄えるため、産卵前が最も美味しくなり、脂がのった産卵前の時期が魚の旬と言われます。
また、旬の時期は収穫量も多いため、流通価格も安価となります。美味しくて・安い!この旬の時期に食べないなんてもったいないですね。ぜひ、日本の四季を楽しみながら、効率的に良質な栄養分を摂取しましょう。
秋の旬の食材
秋の旬な食材とその栄養価を紹介します。栄養価成分表~秋の旬の食材~
栗
*ビタミンB1やカリウムが豊富
栗は、バランスよく栄養成分を含んでいます。中でもビタミンB1を多く含み、このビタミンB1は糖質の代謝に必要な酵素の働きをサポートし、糖質(炭水化物)から活動に必要なエネルギーを産生するのに欠かせないビタミンです。
このビタミンB1が不足すると、必要なエネルギーを産生できず、疲れやすくなったり、体がだるくなったり、代謝が悪くなり太りやすくなったりします。カリウムは、ナトリウムを排泄する働きがあり、高血圧予防の効果が期待できます。
*栗のビタミンCは熱に強い
栗は、意外と思われるかもしれませんが、ビタミンCも多く含みます。
栗のビタミンCは、ジャガイモと同じようにデンプン質に包まれているため、加熱しても壊れにくい特徴があり、ホウレン草などと比較すると、とても効率よく摂取できます。
さつまいも
*ビタミンEやカリウムが豊富
ビタミンEは、強い抗酸化性作用があり、体内の活性酸素を減らしアンチエイジングをもたらします。生体膜の機能を正常に保つことや、赤血球の溶血の防止、生殖を正常に保つことにも関与しています。カリウムも豊富に含み、ナトリウムを排泄する働きがあり、高血圧予防の効果が期待できます。
また、栗と同様に、さつまいもに含まれるビタミンCもデンプン質に包まれているため、加熱しても壊れにくい特徴があります。
*食物繊維
さつまいもに含まれる食物繊維は、100gに対する比率はそれほど多くないですが、他の野菜と比較し、食べる重量が多くなるので、結果として多くの食物繊維が摂取できます。
かぼちゃ
*緑黄色野菜の代表
かぼちゃは、代表的な緑黄色野菜であり、カロテンやビタミンB群を多く含んでいます。
β-カロテンは、ガンのリスクを低下させる作用や、免疫を増強させる作用が示されていますが、体内でビタミンAとなり、目や皮膚の粘膜を健康に保ったりする効果があります。
柿
*ビタミンAとCが豊富
柿は、栄養が豊富に含まれており「柿が赤くなれば、医者が青くなる」と言われるほど非常にすぐれた果物と言われています。多くのビタミンを含み、疲労回復、風邪予防、ガンの抑制効果、老化防止などに効果が期待できます。
*柿のへた
柿のへたを煎じたものは、しゃっくりに効果があり、漢方薬としても使用されています。
さんま(秋刀魚)
*ビタミンB12やミネラルが豊富
秋の味覚の代表であるさんまは、鉄分などのミネラルを多く含みます。またビタミンB12も豊富です。
このビタミンB12は、血球の成熟に関与し、葉酸とともに骨髄で正常な赤血球をつくる作用があり、悪性貧血の治療薬としてビタミンB12を有効成分とする薬剤が処方されています。
*DHC(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)が豊富
DHAやEPAは、青魚に多く含まれます。DHAは、脳細胞の活性化や目の網膜の活性化に効果があると言われています。
EPAは、動脈硬化を防ぎ、抗血栓、コレステロールの低下などの作用による脳血栓の予防や改善に効果があり、閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の改善、高脂血症の治療薬としてEPAを有効成分とする薬剤が処方されています。