お薬の種類と特徴-内服薬-
お薬には、いろいろな剤形があります。それぞれの剤形は目的や薬剤の安定性によって、工夫されています。
期待される効果もちがいますので特徴をよく理解して、お薬を正しく利用しましょう。
錠剤
経口投与する一定の形状の固形の製剤と定義されています。種類が多いのですが、一般的なものをご紹介します。
素錠(裸錠) | 打錠した錠剤の表面に剤皮を施していない錠剤を素錠といいます。 |
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コーティング錠 | 素錠に薬剤の安定化、矯味、矯臭などの目的で、高分子化合物などの適切なコーティング剤で薄く剤皮を施しているのがフィルムコーティング錠で、素錠に糖類または糖アルコールを含むコーティング剤で剤皮を施して製するのが糖衣錠です。 有効成分を胃内で放出せず、主として小腸内で放出するよう設計された腸溶性製剤や投与回数の減少または副作用の低減を図るなどの目的で製剤からの放出速度、放出時間、放出部位を調節した徐放性製剤があります。 徐放性製剤は薬の名前に、R錠とかL錠、CR錠、復効錠、LA錠、SR錠、TR錠、グラデュメット錠などの名称が付いているものです。 |
チュアブル錠 | 咀嚼(かみくだいて)して服用する錠剤です。やや大きめのお薬がおおいようです。 |
口腔内崩壊錠(OD錠) | 口腔内で速やかに溶解または崩壊させて水なしでも服用できる錠剤で消化管で速やかに吸収されます。そのため、速崩錠、速溶錠とも呼ばれます。口腔内崩壊錠はOD錠と名称がついているものです。最近は色々な種類のお薬でもみられるようになりました。 |
舌下錠 | 有効成分を舌下で速やかに溶解させ、口腔粘膜から吸収させる口腔内錠剤です。特殊なお薬に使われています。必ずかまずに服用してください。 |
カプセル剤
医薬品を液状、懸濁状、半固形状、粉末状、顆粒状もしくは成形物などの形でカプセルに充填するか、またはカプセル基材で被包成形して製したものです。
苦味や刺激など服用しにくい薬物を飲みやすくすることができる、硬カプセル(ハードカプセル)と主に油性液体の医薬品を包み込むように充填してつくられる軟カプセル(ソフトカプセル)の2種類があります。
剤型 | 定義・特徴 |
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腸溶性カプセル | 硬カプセルまたは軟カプセルで、カプセル基材の構成成分、またはカプセルに適切な剤皮を施すことにより腸溶性としたものを腸溶性カプセルといいます。 有効成分を胃内で放出せず、主として小腸内で放出するよう設計された製剤です。有効成分の胃内での分解を防いだり、胃に対する刺激作用を低減させるなどの効果が期待されます。溶性製剤は、噛み砕いてしまっては主成分が腸まで届かなくなってしまうことがあるので、必ずかまずに服用してください。 |
徐放性カプセル | 持効性製剤とも呼ばれる。投与回数の減少または副作用の低減を図るなどの目的で製剤からの放出速度、放出時間、放出部位を調節した製剤です。薬物放出の面から表現すれば徐放性製剤、効果の面から表現すれば持効性製剤となります。 |
散剤・顆粒剤
経口投与する粉末(パウダー)状の製剤のことです。粉末状の有効成分に味や量の調整をしたり、吸収をよくしたりする為に他の添加剤を加えて混ぜて、適切な方法により飲みやすい粒状にした顆粒剤もあります。
そのため、粉薬を水やお湯に完全に溶かして飲むのは避けて、万が一ヨーグルトやアイスクリームなどに混ぜる場合も、時間を置かず速やかにお飲みください。
もしも、粉薬が苦手な方は、オブラートやお薬を飲みやすくする為のゼリー(大人用・子供用)などもご用意がありますのでお試しください。
液剤・シロップ剤
経口投与する液状または流動性のある粘稠なゲル状の製剤を液剤といいます。液剤には、エリキシル剤、リモナーデ剤など甘味のあるものも含まれます。経口投与する液剤で、糖類または甘味剤を含む医薬品を粘稠性のある液体で溶かした内服液剤または溶かしている粉状、固形の製剤のことをシロップ剤といいます。保存性や携行性にやや難はありますが、小いさなお子様や高齢者など、固形物が飲み込みづらい方には服用しやすい剤形です。
※ 薬局で調剤をしている水剤は、長期保存できないものもありますので目安として1週間程度で飲みきるようにしましょう。